じっと猫の顔を眺めていると、長く伸びたひげについつい目がいってしまいます。
長い毛、短い毛、上にピンと伸びている毛。整った顔をさらに可愛く見せる不思議なひげですが、猫のひげには実はすごい機能がたくさんあります。
その驚くべき役割を見てみましょう。
ひげは何本あるのか
触毛(ひげの別名)ですが、その名の通りそこに触れたものからいろんな情報を猫は読み取ります。
口の上下左右、目の上、頬、から生えていますが、全部でおよそ50~60本程度です。
それぞれ、両目の上にはえているものを「上毛(じょうもう)」(約6本)、口の上にはえているものを「上唇毛(じょうしんもう)」(約16本)、口の左右にはえているものを「口角毛(こうかくもう)」(1~2本)、あごにはえているものを「頭下毛(とうかもう)」(短い毛が数本)、頬にはえているものを「胸骨毛(きょうこつもう)」(1~2本)と呼びます。
こんなにたくさんの個所から生えています。
ただの飾りじゃない!
猫にとってひげはなくてはならないとっても重要なものです。
ただの飾りではありません。まだお腹の中にいる子猫は、体毛より先にまずひげを生やします。
生まれたばかりの子猫もまだ耳が聞こえず目が見えなくてもひげの感覚で周りにあるものがある程度認識できます。
若いときほどひげの長さは長く、歳をとるにつれて短くなっていくようです。
お手入れもきちんとします。
食事のあとなど汚れていれば手足を使って一生懸命きれいにします。
感覚が鈍らないように鋭くするためと言われています。
ですから雨など水にぬれることもとても嫌うようです。
餌の器が深いと食べるときにひげが汚れるので器を選ぶ猫もいます。
また無理やりひげを引きぬかれてしまってやる気をなくしてしまう猫もいます。
一種のうつ状態になる場合もあるようです。
お分かりのように猫は自分のひげをとっても大事にしています。
なぜそんなに大事なのでしょう。
ひげのさまざまな役割
それは大事な役割があるからです。
ひげは体毛の2倍の太さがあり、3倍も深く体に埋め込まれています。
ひげの根元にはたくさんの神経(感覚受容器)があって、少しの振動や変化に敏感に反応します。
根元にある環状洞は血液が満たされていて、ひげから伝わった振動を増して知覚神経へと信号を伝える役割があります。
具体的にはこのような役割をします。
・獲物が近くにいるか察知する。
空気の流れを感知して獲物との距離感をはかり、物にぶつからないですばやく追いかけることができます。
飛び掛かる寸前はひげを投網のように広げ、伝わってくる振動で獲物の動きを感知し逃がさず捕らえます。
・目を守る
目の上のひげはまぶたの神経と連携していて、何か物が触れると、瞬間的に目を閉じて守ることができます。
・獲物の生死を確認する
獲物を捕らえると、ひげで獲物の体をすっぽり包むようにし、瞬時に、動き、体温、向きを判断し、もし生きているようならとどめをさします。
・障害物を見つけ、通れるか判断する
どこか狭いところを通る前にはひげをいっぱいに広げて、あたらないなら通れると判断します。
気分もわかる
猫のひげの位置によって精神状態も読み取れます。
何もすることなく暇な時、寝ているときは下にたれています。
興奮して、嬉しいときはピンと斜め上方向に伸びています。
餌を食べて満腹になっているときは頬にくっついています。
周りの様子を探っているときは四方八方に広げています。
前に伸びているときは警戒しているか、機嫌が悪いときです。もちろん個々の猫の性質によるので、一丸には言えませんが、ひげの方向を見れば大体どんな気分なのか、怒っているのか、嬉しいのか、暇なのかなど知ることができます。
ついつい可愛くていじりたくなってしまうひげですが、猫にとっては生きていくうえで大切な一本一本なので引き抜くことがないように注意しましょう!
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